ファミリーマート・伊藤忠

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RMBキャピタルは株式会社ファミリーマートおよび伊藤忠商事株式会社の長期株主です。当社は、両社が取るべき重要な行動について説明するため、以下のようなプレスリリースを行いました。

RMBからのプレスリリース:


2023年4月3日

RMBキャピタル:伊藤忠によるファミリーマート公開買付けに係る株式買取価格決定の申立てに関する東京地方裁判所の決定について

RMBキャピタル(以下「RMB」といいます。)は、20207月に公表された伊藤忠商事株式会社(コード番号8001、東証プライム、以下「伊藤忠」といいます。)による株式会社ファミリーマート(コード番号8028、東証第一部(当時)、以下「ファミリーマート」といいます。)に対する公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)において、公正な手続きがなされず買付価格(一株当り2,300円)が不当に低く抑えられたとして、東京地方裁判所において株式買取価格決定の申立て(以下「本裁判」といいます。)を行ってまいりました。

その結果、東京地方裁判所はRMBの主張を認め、本公開買付けの価格よりも高い一株当り2,600円を買取価格(「公正な価格」)と決定しました。

東京地方裁判所は上記の決定をするにあたり、本公開買付けは、特別委員会が十分に機能しておらず、一般に公正と認められる手続きにより行われたものではないため、本公開買付け価格(一株当たり2,300円)をもって「公正な価格」とすることはできないと判断しました。

その理由として、東京地方裁判所は、

(1)本公開買付けの交渉をするにあたりファミリーマートが設置した特別委員会が、交渉過程において事前に取り決めていた交渉条件を数度にわたり合理的な理由なく引き下げた点を重視しました。

すなわち、伊藤忠がファミリーマートに対し本公開買付けの価格を一株当たり2,300円とする提案をしたことに対し、特別委員会は同提案価格を伊藤忠が引き上げない場合には、本公開買付け等の取引に係る協議を終了することを伝えるとの交渉方針を有していました。ところがその後、特別委員会は、十分な検討をすることなく当該交渉方針を放棄し、なし崩し的に伊藤忠及びファミリーマートの経営陣の意向通り公開買付け価格の切り下げに応じてしまいました。

また、

(2)特別委員会が、交渉方針を転換した理由が、①伊藤忠が同社代表取締役会長の個人的な「意向」のため提案価格(一株当たり2,300円)を引き上げない姿勢でいたこと、及び、②伊藤忠出身者である当時のファミリーマートの会長及び社長が非推奨意見で本公開買付けを実施しても悪影響は生じない旨の意向を表明していたこと、であったことからも、裁判所は特別委員会が機能していなかったと評価しています。

以上の東京地方裁判所の判断を通じて、本公開買付けにおいて、ファミリーマートの支配株主であった伊藤忠の経営陣、および当時のファミリーマート経営陣が、ファミリーマート少数株主の利益を全く顧みることなく自らの便益のみに固執したことが改めて浮き彫りとなりました。日本を代表する企業という社会的立場を忘却した両社経営陣の徹底した利益至上主義には慄然とせざるをえません。

また、本裁判の決定は、本公開買付けにおいて特別委員会が表明した「公開買付けには賛同するが(公開買付け価格が低いため)応募推奨はしない」という意見の合理性を明確に否定したものとRMBは考えます。公開買付け価格という基本的な条件は公開買付け取引と一体不可分なのは自明であり、公開買付け価格に賛同できない以上、特別委員会は本公開買付けに反対すべきだったRMBは考えます。

RMBは、本公開買付けにおいて一般に公正と認められる手続がなされたとはいえないと認定した東京地方裁判所の決定趣旨を評価するとともに、今後、日本における公開買付けが真に公正な手続きに則って行われ、特別委員会が毅然とした意見表明を行うことによって少数株主の利益が十分に保護されることを期待します。また今後は、東京地方裁判所によって算定された株価の公正性・妥当性について精査したうえで対応をして参ります。

なお、本件に関するRMBの過去のリリースについては、こちらをご覧ください

以上


2021年1月20日

RMBキャピタル:伊藤忠によるファミリーマート公開買付について、公正な買取価格を決定するよう東京地方裁判所に申立てました

RMBキャピタル(以下「RMB」といいます。)は、伊藤忠商事株式会社(コード番号8001、東証第一部、以下「伊藤忠」といいます。)、による株式会社ファミリーマート(コード番号8028、東証第一部、以下「ファミリーマート」といいます。)の公開買付(以下「本公開買付」といいます。)について、公正な買取価格を決定するよう東京地方裁判所に申立てました。

RMBは以下の理由から、本公開買付が一般株主の利益を大きく損なう著しく不公正なものであったと考えます。

  • 伊藤忠がコロナ禍による一時的な社会的混乱、株価下落を都合よく利用し、提案価格を当初予定額から大幅に切り下げたこと
  • 本来は一般株主の利益を保護すべきファミリーマート取締役会および特別委員会が全く機能していなかったこと
  •  特に、特別委員会が算定機関による算定株価の下限を大幅に下回る公開買付価格を承諾したこと
  • 株価算定書の詳細など十分な情報開示が行われず、マジョリティ・オブ・マイノリティの賛同を得ていないなど、2019年に経済産業省が策定した「公正なM&Aの在り方に関する指針」に明らかに反していること

さらに、RMBは近年増々重視されるESGの観点からも本公開買付は問題があったと考えます。すなわち、伊藤忠およびファミリーマートは日本を代表する企業でありながら資本市場の規律をないがしろにする本公開買付を強行したのであり、ガバナンス(G)だけでなく社会的要素(S)の観点からも言語道断であると言えます。RMBは本裁判を通じて公正な公開買付を担保するベストプラクティスを確立することを目指します。

 


2020年8月18日

RMBキャピタル:伊藤忠の反論に対する見解

RMBキャピタル(以下「RMB」といいます。)は、伊藤忠商事株式会社(コード番号8001、東証第一部、以下「伊藤忠」といいます。)、および、株式会社ファミリーマート(コード番号8028、東証第一部、以下「ファミリーマート」といいます。)の株式を、RMBの運用する複数のファンドにて保有しています。RMBは、伊藤忠によるファミリーマートの現行公開買付(以下「本公開買付」といいます。)に反対するとともに、伊藤忠に対し公開買付価格を2,600円に戻すことを提案しています。 以下、伊藤忠の本年8月13日付リリースについてRMBの見解をご説明します。

  1. 「新常態」という見通しは一般化していません

伊藤忠は、「新型コロナウイルスの一定の収束後も「新常態」が継続するという考え方が一般化する中(中略)ファミリーマートの急激な業績回復を見込むことは相当に困難」と断言しています。しかし、そのような「新常態」が今後定着するという見方についてはまだ議論が分かれており、一般化しているとまでは言えません。確かに、今後コロナウイルス感染の第二波、第三波が発生し経済が影響を受ける可能性は否定できません。しかし、20世紀初頭に猛威をふるったスペイン風邪ですら2年程度で収束しています。伊藤忠は、いわゆる「新常態」が定着し未来永劫継続すると考える合理的根拠を示すべきです。

  1. 特別委員会の算定価格は十分保守的です

そして、「急激な業績回復」を見込んでいないのは、ファミリーマート特別委員会の取得した算定書も同様です。例えば、同算定書はファミリーマートのEBITDAがコロナ前の水準(約2,600億円)に回復するのは早くても4年後の2025年2月期とするなど、相当保守的な前提で作成されています。従って、同算定書のDCF評価(中間値2,756円)は、コロナの影響による中長期的な業績低迷の可能性を十分織り込んでいると言えます。

  1. 伊藤忠の提案価格は短期志向で信憑性を欠きます

伊藤忠は、本年7月8日の本公開買付公表時点でファミリーマート株価が日経平均に劣後していたことをもって同社の企業価値を低く見積もったことを正当化しています。しかし、本年3月から7月という、たった5月の株価推移を云々すること自体が、伊藤忠が長期的な観点からファミリーマートの企業価値を評価していないことの証左です。伊藤忠は本公開買付公表に至るまでの交渉過程において、当初の2,600円から2,000円まで大幅に提案価格を下げるなど提案株価を二転三転させていることから、2,300円という現在の提案株価も信憑性を欠くと疑わざるを得ません。伊藤忠は、同社の算定株価が、相当保守的と言えるファミリーマート特別委員会の算定株価をも大幅に下回っている理由、具体的には、使用した業績予想や割引率、永久成長率について具体的に説明すべきです。現状では伊藤忠がファミリーマート株主に対し誠実であるとは到底言えません。

  1. 伊藤忠は提案価格を精査し再提示すべきです

伊藤忠の現在の提案価格2,300円は、ファミリーマート完全子会社化によるシナジー効果を全く織り込んでおらず、伊藤忠にとってのファミリーマート企業価値が2,300円を下回ることはあり得ません。もし十分なシナジー効果が期待できるのであれば、2,300円を上回る買付価格であっても伊藤忠の株主に説明可能です。むしろ、ファミリーマート取締役会が承諾できないような提案価格に固執し、万が一本公開買付に失敗するのであれば、コンビニエンスストア業界第二位のファミリーマートを完全子会社化するという、伊藤忠株主にとってまたとない投資機会を逃すことになります。

RMBは、伊藤忠がファミリーマートの企業価値とシナジー効果を改めて精査した上で、誠実な公開買付を実施するよう期待します。

 


2020年8月10日

RMBキャピタル:伊藤忠によるファミリーマート公開買付に反対し、買付価格を2600円に戻すことを提案します

RMBキャピタル(以下「RMB」といいます。)は、伊藤忠商事株式会社(コード番号8001、東証第一部、以下「伊藤忠」といいます。)、および、株式会社ファミリーマート(コード番号8028、東証第一部、以下「ファミリーマート」といいます。)の株式を、RMBの運用する複数のファンドにて保有しています。RMBは、伊藤忠によるファミリーマートの現行公開買付(以下「本公開買付」といいます。)に反対するとともに、伊藤忠に対し公開買付価格を2600円に戻すことを提案します。

  1. 改定MBO指針とその運用について

RMBは、2018年から2019年に経済産業省において開催された「公正なM&Aの在り方に関する研究会」に外部有識者として参加し、「公正なM&Aの在り方に関する指針」(以下「改定MBO指針」といいます。)において少数株主権の保護を充実するよう主張しました。本公開買付 において、ファミリーマートが社外取締役で構成される特別委員会を設置し、同委員会が独自の法務・財務アドバイザーをを選任の上、少数株主のために主体的に本公開買付の条件を検討したことは評価できるとRMBは考えます。一方で、ファミリーマート取締役会および特別委員会の取得した株価算定書が公開されていないなど、少数株主が本公開買付に応募すべきか否かを判断するために十分な情報開示が行われていないことは問題であると考えます。

  1. ファミリーマートは本公開買付に反対すべきでした

本件のような支配株主による公開買付が実施される場合は、支配株主の影響を受けやすい対象企業取締役と少数株主の間で利益相反が生じる蓋然性が高いため、改正MBO指針に則り適切な利益相反回避措置を講じた上で、対象企業取締役会が明確な意見表明を行うべきであることは論を待ちません。従って、本件においてファミリーマート取締役が行った、「賛同すれども推奨せず」といった玉虫色の意見表明は、取締役会としての経営責任を果たさず徒に少数株主を混乱させるだけであり、到底許されるものではないとRMBは考えます。そもそも、公開買付という行為と公開買付価格等の条件は一体不可分であり、公開買付価格には賛同できないが公開買付には賛同する、という意見表明は論理的にありえません。ファミリーマート取締役会は、公開買付価格に賛同できない以上、本公開買付に毅然と反対すべきだったとRMBは考えます。

  1. 伊藤忠も公開買付を混乱させた責任があります

伊藤忠は、ファミリーマート株式の過半数を保有する支配株主という立場上、一般的な公開買付者以上に対象企業であるファミリーマート少数株主の権利に配慮する責任がありますが、同社はその責任を十分に果たしていないとRMBは考えます。例えば、本公開買付に至る交渉において、同社は、ファミリーマートの企業価値を長期的な観点から考慮せず、むしろコロナ禍による一時的な業績悪化・株価下落を奇貨として、提案価格を二転三転させ交渉を混乱させています。また、ファミリーマートにおけるパッシブ・インデックス運用ETFおよびファンドの株主構成比率を自己に都合よく解釈し、マジョリティ・オブ・マイノリティの賛同を公開買付成立条件に入れないばかりか、公開買付成立のための応募株主数の下限を9.90%という低い水準に設定するなど、ファミリーマート少数株主にとって強圧的とも取られかねない公開買付を実施しています。

  1. RMBの提案:公開買付価格を当初の2600円に戻し、「三方良し」を模索すべき

RMBは、伊藤忠の企業理念である「三方良し」を拠り所に、伊藤忠が公開買付価格を当初予定していた2600円に戻すことを提案します。

  • 売り手よし。同価格は、ファミリーマート特別委員会の取得したPwC算定株価(DCF: 2472円~3040円)の中央値2756円を下回るものの、下限値を上回っており、同社取締役会が少数株主に対し応募推奨することが可能となる。
  • 買い手よし。同価格は、伊藤忠が取得した野村証券算定株価(DCF:1701円~2749円)の中央値2225円を上回るものの、上限値を下回っており、同社株主への説明責任を果たせる。
  • 世間よし。伊藤忠・ファミリーマートが日本を代表する企業としての社会的責任を全うし、改定MBO指針に則ったベスト・プラクティスを示すことができる。引いては、日本における健全な資本市場の発展に資することができる。

現状の公開買付条件では、買い手のみが満足し、売り手、世間が納得できないため、将来にわたって禍根を残す恐れがあるとRMBは考えます。伊藤忠、ファミリーマート両社の株主として、全ての関係者が納得のできる条件で本公開買付が実施されることをRMBは期待します。

 

以上

 


RMBキャピタルについて

RMBキャピタルは米国シカゴに本社を置き個人富裕層や機関投資家を顧客に持つ独立系の投資助言会社です。当社は、ウェルスマネジメント、ファミリーオフィス支援、アセットマネジメント、退職金プランコンサルティングなどのサービスを提供しています。当社のアセットマネジメント事業は、長期・集中・アクティブ運用を旨とし、世界各国の様々な時価総額の企業に投資しています。詳細はrmbcapital.comをご覧ください。


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